陶芸のフェーズは大きく「成形」「釉薬」「焼成」に分けられると思います。
今回は「釉薬」について書きたいと思います。

最近は新しい釉薬を作ることがなかったので、確認する作業として釉薬を簡単に説明します。
あと、私が効率的だと思う釉薬の実験の流れも書きます〜

※実践的な内容ではないです。

目次




釉薬とは


そもそも釉薬(ゆうやく)とは、食器などの表面のツルツルしたガラスの部分のことを言います。
別名うわぐすりともいいます。
釉薬の役割は、汚れ、耐久性、強度、装飾、表現…
など多くの役割があります。

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釉薬を作る



釉薬を作る原料には3つの役割があり、
塩基性(アルカリ):溶けやすくする(Ka2O,Cao,ZnO.PbO)
中性原料:釉薬に粘りを持たせる(Al2O3,朝鮮カオリンとか)
酸性原料:釉薬の骨格(SiO2,B2O3)
この三つが揃ってはじめて釉薬になります。いうならば基礎釉です。
ここに、
添加原料:着色原料(金属化合物、顔料)、乳濁剤
を加えていきます。

塩基性、中性原料、酸性原料は、溶解温度や熱膨張性など釉薬の基礎的な性質に関わります
添加原料は、色や乳濁などの見た目に関わってきます

この釉薬の出来上がり(溶け具合や乳濁具合など)のおおよその予想ができる化学式もあります。ゼーゲル式というドイツの科学者が考案した式です。

でもぶっちゃけ私はあんまりゼーゲル式を使いません。なぜならこの式は釉薬の溶け具合などをおおよそ確認することしかできないからです。
釉薬をつける土や、焼き方、塗り方によっても出来上がりはびっくりするほど違うので、実際の触り心地や色味や雰囲気などはわからないのです。

しかし、時間や原材料の節約などをしたい場合はゼーゲル式をはじめだけ利用することをおすすめします!

ここからは私がやってきた自分の釉薬をみつける方法です↓




自分だけの釉薬を作るおすすめの方法


もしかしたら一般的なやり方で「そんなん知っとるわ」ってなるかもですが、まず基礎釉を決めちゃうのがいいと思います。

①基礎釉をつくる
基礎の釉薬は上記で書いた通り、塩基性、中性原料、酸性原料がはいっていたらOKです。
このバランス次第で釉薬の溶け具合やだいたいの乳濁具合などの検討がつくので、色を抜きにした理想の釉薬の雰囲気を探してください。
基礎釉にはゼーゲル式使うのもお勧め。

②添加原料を加える
基礎釉ができたら、添加原料を少量入れていく。
これだけでも釉薬のバリエーションは爆増します。
こちらはゼーゲル式には加えず、外割りで考えます〜


私はこのやり方でオリジナルの釉薬が100種類くらいありますが、基礎釉自体は5種類くらいなんです。
それぞれ、マットな釉薬、流れる釉薬、結晶釉、食器に向いてる釉薬、つるつるの釉薬など。
釉薬の分類する時どんな作品に向いているか、焼成温度、化学構造、結晶の有無など多様な切り口があるので、自分しか使わない釉薬ならどんな作品に向いているかと、どんな特徴があるかなどを把握しておけばいいと思います。

でも正直、ここまでのバリエーションは要らなかったかなと思ってます。
基礎釉は2種類くらいであとは外割りで添加原料を加えるだけでいいと思うのです。おおすぎると、手に負えません。




実験できる環境


私の場合は、ずっと陶芸ができる場所にいたので釉薬の実験も好きなだけできました。
大学ではかなり丁寧に釉薬についての授業が週に1回あって、基本的な釉薬から特殊な釉薬まで結構な量のテストピースを全員が持っていました。
原料をたくさん使って実験してね(限度はある)!っていう施設や整った環境があったから釉薬の実験が捗ったのかなとも思います。

正直このような環境は全国的にも少ないと思うので、基礎釉をひとつ見つけてそこから自分の釉薬を広げていくのが効率的かなと思います^^

調合前




今作りたい釉薬


実は今作りたい釉薬があります。
つるつるしていて、流れて、貫入の入らない釉薬
です。

今まではマットで温かみのある土っぽい釉薬を好んで使っていたのですが、現在制作している作品の表現のために新釉薬を作りたいと思ってます。

イメージとしては、透明水彩です!

とりあえず、アルミナやシリカを減らしてそれでもだめならリチウムやバリウムを入れて、今ある釉薬を微調整していく感じでテストしてみます。
この実験についついての実践的な記事も書きます。



ではまた:)