作品を作っていていつも、陶芸ってままならないと思います。
とくに焼成はよく心が折れる。でもその焼成に救われるところもあるので書いてみます。



目次


焼成について



陶芸の大きな特徴のひとつに焼成があります。

焼成には、約800度まで温度をあげる素焼きと、約1200℃〜1250℃で焼成する本焼きがあります。
本焼きの時に釉薬をつけて一緒に焼くと釉薬が溶けてガラス質のコーティングが完成します。

この本焼きが本当に厄介。粘土を成形する段階まではうまくいっていても焼いてみるとイメージと違っていたり、釉薬がテストの時と違っていたり。
同じ温度に設定しても些細な変化で思っていたものと違う結果になってしまいます。
逆に想像してたより良くなることはほぼないです!完成予想をイメージしていたらなおのこと。

悪くなって帰ってくるというと語弊があるのですが、基本的に想像と違う結果になることの方が多いです。スケッチやテストピースを参考に作品を作るのだから、結果が予想外なのは結構ショックなものです。

粘土で成形してから、乾燥→素焼き→釉薬→本焼きと長い時間をかけてきたからこそ、想像と違う時のガッカリ感がすごいです。(私はショックが大きい場合とりあえずアトリエの簡易ベットで寝る)




窯マジック

私の大学では【窯マジック】と呼ばれる迷信がありました。
これは、窯に入れて焼き上がったら想定外にかっこよく良い作品になって戻ってくる現象のことを指します。
上記でも書いたように、ほぼないです。

大学、窯詰めの様子


大学のころはまだ実験もあまり出来てなかったけど、課題の期限は迫ってくるので、ええい!と窯で焼いちゃうことがありました。その時みんな【窯マジック】が起こらないかな〜と期待していた訳です。もう神頼みの域。

陶芸あるあるだと思うんですが、陶芸作品で魅力的なのは半乾きの時だと思うのです。しっとりとした感じというか粘土の良さが引き立つ状態です。
大学の時は、この魅力が焼成後にも出てほしいと常々思っていました。でも大体の場合、半乾きの時の魅力は焼成後なくなってしまうので陶芸って無情ですよね^^

個人的に釉薬をうまく使いこなせてなかったので、形勝負になっていたのも【窯マジック】に頼ってしまう原因だったと思います。

祈ったところで1230℃で焼き上がった作品が想定よりカッコ良くなることはないです。そして1230℃で焼き上がった作品をそこから良くするのはかなり難しい。
陶芸はブラッシュアップが難しい素材です。



逆に、ブラッシュアップできない魅力


1230度で焼いたあとは、もうどうすることもできません。
せいぜいリューターで底を削ったり金彩で加飾したりする程度で、作品を大きく変更することは不可能です。

例えば、油絵やデザインなら、その作品自体に手を加えたり要らないところを引いたりさせることはできますよね。いつでも作品をブラッシュアップできる素材で、そこが魅力でもあります。

しかし、わたしはこのブラッシュアップ作業が苦手なのです。
それは、終わりどころがわからないから
自分のセンスや感覚で作品の終わりを作るのってとても難しいことだと思うんです。もっとよくできる気がして、いつまでも手を加え続けてしまう。
この引き際が上手な人がいい絵画やデザインを作る人なのかもしれません。(マジで尊敬)

陶芸はこの引き際を窯が引き受けてくれるわけです。
焼き上がった作品をもっとこうしたい!と思っても、窯が【終了です】というので悔しさとかもどかしさは次の作品に生かすしかないです。
上手くいった作品だけを発表して、どんどん次の作品を作っていくのが私には合っています。




まとめ


焼成でいつも挫折しそうになりますが、焼成のおかげで割り切ってどんどん作品が作れているのでどっこいどっこいということで。
陶芸ってままならない話でした。


大学の窯。めっちゃでかい。



ではまた:)

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